ANA VS JAL 海外路線拡大で成長図る

2019年11月13日

反転攻勢のJAL

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内航空大手2社ANAホールディングス、日本航空の業績は堅調に推移している。
2019年3月期業績に関しては、ANAHDは初めて売上高が2兆円を超え、営業利益は4期連続で最高益を更新した。
JALに関しても増収増益を実現した。
19年3月期と12年3月期の売上高を比較した時の増収率はANAが45%、JALが23%である。下記の業績推移を示したグラフからもANAの方が成長の勢いが強いことがうかがえる。

ANAHDの業績推移(出所:決算短信をもとにフィスコ作成)

JALの業績推移(出所:決算短信をもとにフィスコ作成)

この成長率の差の背景にあるものとしては「8.10ペーパー」が挙げられる。
JALは2010年に経営破綻し、その後経営を立て直し12年9月に再上場を果たした。
しかし、その間にJALは多額の公的支援を受けており、ANAなど他社との競争環境を保つため17年3月まで新規の投資や路線開設に制限がかかっていた。
このため17年3月期までは特に目立った動きはみられなかったが、この呪縛が説かれた18年3月期以降、成田~メルボルン線、成田~コナ(ハワイ島)線を開設、また羽田~ロンドン線を増便し、海外航空会社との新規提携も進め動きが活発化してきている。
これらの施策により18年3月期と19年3月期の2年間でみると、2社の増収率はANAが16%、JALが15%になりJALについても成長性が高まってきていることがわかる。

JALの牙城ホノルルを攻めるANA

ANA飛行機(出所:ANA)

2019年の航空業界最大のトピックはANAがホノルル線に世界最大の旅客機A380を投入することが挙げられる。
A380は世界で唯一の総2階建て旅客機で、ANAは520席を設ける。2階にはANAのホノルル路線では初めて、ファーストクラスを設ける。
日本初のドアつき・個室型のシートになる。2階はほかにビジネスクラスとプレミアムエコノミーを設ける。
これまでANAはホノルルまで成田から1日2便、羽田から1便、JALは成田から4便、中部から1便、関西から1便を運航しており、日本=ホノルルの座席数ベースのシェアはJALの32%に対し、ANAは14%だった。
これを座席数246席のB787から520席のA380に切り替えることでシェアを25%程度に引き上げる方針。
もっともJALも対策を打っており、ハワイの離島路線などに強いネットワークを有するハワイアン航空と18年3月からコードシェア便の運航を開始し、10月からはハワイアン航空とのマイレージ提携開始により、相互にマイルをためて、使えるようにしている。

いずれも成長の軸は国際線

ANAとJALはいずれも21年3月期をターゲットとした中期経営計画を示している。
ANAの同期目標は売上高23,100億円・営業利益2,000億円以上(19年3月期売上高20,583億円・営業利益1,50億円)、JALの同目標は売上高16,000億円・営業利益1,800億円(19年3月期売上高14,872億円・営業利益1,761億円)である。
成長のけん引役は2社ともに国際線。ANAは国際線旅客座席キロ数(ASK)について、18年3月期を100とした場合、21年3月期には135にまで引き上げる方針。
上記ホノルル路線の強化の他に、19年2月にはウィーンに新規就航し、9月からは成田=パース線、冬ダイヤ中には成田=チェンナイ線を新規開設する計画。

ANA19年度事業計画(出所:ANA)

ANAの航空事業売上高内訳では、現在も国内旅客が国際旅客を多少上回っているが、国際旅客の伸長率の方が高く、近い先には国際が国内を逆転するだろう。

ANA航空事業売上高内訳(出所:ANA資料よりフィスコ作成)

JALについても国際線旅客座席キロ数(ASK)は18年3月期を100とした場合、21年3月期には125にまで引き上げる方針。
羽田=マニラ線、成田=ベンガルール線、成田=シアトル線を19年、20年に新規開設し、成田=モスクワ線、成田=シカゴ線などを増便する。
また共同事業パートナー、oneworldメンバー、コードシェアパートナーとの提携拡大を進め、21年3月期中に500都市への乗り入れを目指す。

JAL ネットワークの強化(出所:JAL)

株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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