金利上昇局面を見据え、債権管理の強化などが今後の課題に

2019年03月26日

住宅ローン業界では追い風が続く

不動産金融各社の業績推移

フラット35(民間金融機関と住宅金融支援機構が提携している長期固定金利の住宅ローン)を中心とする住宅ローンの貸付を行うアルヒの2018年3月期業績は減収増益。
借換特需(マイナス金利導入後の特需発生で17年3月期の第1、第2四半期は借換(高い金利で組んでいたローンをより低い金利で組み直すなど、有利な条件で借り入れをし直すこと)が大きく膨らんだ)が一巡したことによる借換案件の減少で営業収益はマイナスになった。
一方、主力商品となる「フラット35」の新規借入や同社オリジナル商品「スーパーフラット」及び銀行代理による変動金利商品など自己資金を持つ高属性ユーザー向けの案件が好調に推移し、借換を除く営業収益は前期比18%の増加となった。
新規借入件数は14%増加している。借換案件の減少に伴う金融費用や支払手数料の減少で経常利益は前期比7%増となっている。
19年3月期は、「スーパーフラット」や銀行代理変動金利商品の伸長に加え、新オリジナル変動金利商品の導入により新規融資実行件数が堅調に推移することを見込むほか、上場関連費用の一巡もあって経常利益は2ケタ増益を予想している。

日本モーゲージサービスは、フラット35の借換需要が一巡したことで住宅金融事業は減益となったものの、住宅瑕疵(かし)保険売上件数が前期比10%増加した住宅瑕疵保険等事業が大幅増益となり全体をけん引した。
19年3月期も新規店舗の本格稼働による住宅金融事業の回復、他事業分野との連携強化による瑕疵担保売上件数の増加で大幅増益を見込んでいる。
アサックスは営業貸付金残高が前期比3%増加したものの、平均貸付金利の低下で営業収益は減少。平均調達金利低下でスプレッドに変化はなく、利益は横ばいであった。
19年3月期は不動産価格の下落を想定し、債権の健全性に重きを置いた経営を推し進める方針であり、営業貸付金残高の減少を見込んでいる。

Casa、ジェイリースは家賃債務保証を主力としている。
Casaは継続契約数の積み上げによって年間保証料は順調に拡大したが新規契約数は減少した。上場関連費用の計上もあって経常利益は減益に。19年1月期は新規代理店のアプローチ強化によって新規契約数の拡大を目指し、増収増益を予想している。
ジェイリースは営業拠点の新規出店効果でフロー、ストックともに売上高が大幅に増加。19年3月期も新規出店効果で順調に売上が拡大し、連続2ケタ増収増益を予想している。

家賃保証業務では今後の民法改正も追い風に

住宅ローン貸出額・貸出残高推移

住宅ローン残高は緩やかな増加傾向にある。
住宅着工戸数は大きく伸びていないものの、未曽有の低金利状態を背景に、住宅ローンの利用ニーズが強まっている状況だ。
先々は金融政策の正常化に向けた動きから金利も上昇傾向に入ってくる公算だが、19年9月の消費増税実施を控えて当面は金利上昇も限定的となり、住宅ローンの需要は続く見通し。
足元では銀行の不動産投資に対する慎重な姿勢もみられており、TATERUの融資資料改ざん問題、スルガ銀行の不適切融資問題なども抑制要因となるだろう。
資金調達力の高い住宅ローン専業企業にとって、消費増税前の駆け込み需要を睨んだ積極展開は短期的な業容拡大のチャンスになる可能性もある。
ただ、金利上昇後の不良債権拡大はリスクとなり、審査体制の強化などが重要となってくるだろう。

(図)賃貸借契約における家賃債務保証会社の利用割合

家賃債務保証業務は、新規契約者数の積み上がりが年間保証額の安定した増加につながるストックビジネスといえる。
一方、20年4月に施行される民法(債権法)改正では、連帯保証人に関する規定の改正などが盛り込まれている。
極度額(根抵当権により担保することのできる債権の限度額、民法398条の2第1項)が設定されることにより担保価値が低下するほか、手続きが複雑となることで連帯保証人の確保の負担が拡大する。
不動産オーナーにとっては、連帯保証人よりも家賃収入の確実な家賃保証会社の利用を求めるニーズが強まるだろう。
債務保証会社の利用割合は年々広がっているが、今後も一段とその割合は高まり、業容の拡大余地は大きいと考えられる。
また、外国人対応力の強化によるビジネスチャンスの広がりも期待される。
こうした展開力も見据えて、債権管理の強化が今後も大きなカギを握ることになるだろう。


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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