国内株式市況の動向に左右される展開が続く

2019年03月19日

投資信託への資金流入傾向が強まる

投資信託の純資産額推移
(注)国内株比率は公募投信での比率
(出所)投資信託協会

投資信託協会によると、投資信託の純資産額は2012年以降右肩上がりで拡大し、2017年には200兆円の大台を突破している。公募投信における国内株への投資比率が急上昇していることからもわかるように、日本株の上昇が最大の要因と考えられる。
日本銀行の異次元緩和策を中心としたアベノミクス政策が評価される形で、日経平均は2012年の後半から急上昇しており、株式投信への資金流入が活発化しているのだ。
また、公募投信以上に私募投信の残高増加率が大きくなっているが、こちらも主に、国債利回り低下による資金運用難の銀行の資金が株式に流れている可能性が高いだろう。

また、「貯蓄から投資へ」の政策は安倍政権下で一段と進展、NISA導入など資産流入の起爆剤とはいかないまでも、順調な資産シフトを促す一因となっている。
ただ、日本銀行によると、2018年3月末における日本の個人金融資産約1,829兆円に占める投資信託の比率は4%に過ぎず、米国の12%、欧州の10%と比較すると依然として低水準であるのが現状だ。
投資信託+株式・出資金+債券でこの比率を見ても、日本は16%にとどまっており、米国の54%、欧州の33%と比較して見劣りしている。株価の上昇、政策の後押しが続けば、今後も投資信託など資産運用業界への資金流入は継続していく可能性があると考えられる。

日経平均株価の推移純資産額上位の投資会社

投資信託協会の「契約型公募投資信託の投資信託会社別資産増減状況」によると、8月末段階での純資産額トップは野村アセットマネジメントで、そのほか、国内大手証券系の運用会社が上位に並んだ。また、資産運用力の強みを活かして外資系運用会社が続いている。
独立系では、中小型成長株の発掘力を強みに資産流入が続くレオス・キャピタルワークスが上位にランクインした。
2015年半ばの一部期間を除き基本的に株高の好環境が継続しているものの、いずれ到来するであろう株式市場の調整局面において、運用力の優劣が鮮明化する可能性もある。こうした際には運用会社間での資金シフトの動きが強まる展開も想定される。

投資銀行・投資信託・投資顧問各社の業績推移

良好な事業環境背景に資産運用企業の収益は総じて好調

主に資産運用を主力事業としている上場会社の2018年3月期業績は、良好な資産運用環境を背景に高い増益率を達成する企業が多くなっている。
スパークスグループは残高報酬が前期比15%増と2ケタの成長となったほか、成功報酬が急増したことで営業利益は倍増となり、リーマンショック前の水準にまで回復した。期末運用資産残高は長期投資、中小型投資を中心に拡大し、1兆1,240億円に達している。配当金の増額や取締役の任期短縮など株主提案も行った。有価証券のみならず、再生可能エネルギー発電施設などへの投資も活発化させている。
主にベンチャー企業への投資を行うジャフコも増収増益、大型IPOとバイアウト投資先のM&Aがキャピタルゲインに貢献した。期末のグローバル未上場投資残高は1,159億円で218社、好調な株式市況を背景にIPO市場も良好な環境が続くことから、中期的な業績トレンドは順調と考えられる。
信金中央金庫は運用が国債や社債など債券中心となっており、足元の株式市場の活況メリットは大きく享受できていない。
日本アジア投資は大型の再生可能エネルギープロジェクトの売却益が寄与、マーキュリアはバリュー投資として組成したファンドの成功報酬獲得が貢献した。
一方、アストマックスは商品を主な投資先とするディーリング事業の減少が響いて大幅減益、フィンテックグローバルは海外成就株式の減損計上や不動産事業の先行コストなどで赤字が拡大した。


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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