銀行業界の動向と業界の注目企業「三井住友トラストホールディングス」

2019年08月02日

銀行業界の最近の動向

5大銀行グループ(三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラストホールディングス、りそな銀行)の2018年4-12月期合算実質業務純益(銀行などが本業で得た利益から特殊要因を取り除いたもの)は前年同期比8%減少した。
世界的な株安や債券相場の乱高下をうけて、市場部門が振るわなかった。

19年3月期当期純利益については5社のうち三井住友トラストのみが増益を予想している。
同社については18年4-12月期実質業務純益も前年同期比6%増加した。
国内預貸収支の改善が継続し、外貨余資運用益を加えた「実質的な資金関連の損益」についても増益を確保した。

みずほは19年3月期純利益について、前期比86%減の800億円を見込む。
減損などで6,800億円の損失を計上することが主な要因となっている。
6,800億円の損失の内訳は、店舗など固定資産の減損が400億円、システムの減損が4,600億円、運用資産の損失処理が1,800億円である。

具体的には、みずほは今後百数十拠点にのぼる店舗の統廃合を計画しており、これに向けて固定資産の減損400億円を計上する。
システムの減損については、口座などの管理を行う勘定系システムで4,600億円の減損を計上。
同社は現在システムの刷新を進めており、従来はこれの開発費4,000億円を20年3月期から償却する予定であったが、個人部門が将来生み出す収益とこの費用が釣り合わず、減損処理を前倒しした。
運用資産の損失処理については、国債運用では超低金利の環境下で収益が見込めないなかで外債運用を拡大してきたものの、金利上昇の影響を受け評価損が発生、この損失を確定させることとした。

メガバンク3行(三菱UFJ、三井住友、みずほ)は、20年春入社の新卒採用人数を合計で1,800人程度と、19年4月入社と比較して2割以上減らす方針。
ネットバンキングやキャッシュレスの普及により、店舗で必要な人員が減少している。
経営環境が厳しいなかで、業務を効率的にするIT(情報技術)の導入を進めることで、効率化を図る方針。

株式を公開している79の地方銀行・グループの18年4-12月期合算連結純利益は前年同期比11%減少。
16年3月期をピークに3期連続で減益が続いている。超低金利が続いており収益力が低下している。

銀行業界の最近の動向

業界の注目企業…三井住友トラストホールディングス

銀行業界の最近の動向 (出所:各社資料をもとにフィスコ作成)

三井住友トラストホールディングスは、他銀行グループが商業銀行を核とする金融グループであるのに対し、信託銀行を核とする点で大きな違いがある。

19年3月期純利益も5大銀行グループで唯一増益を見込み、中長期的にも5社のなかで業績は最も堅調に推移している。

背景には収益構造の違いがあげられる。
超低金利の継続は銀行にとって逆風になるが、貸出・預金構造の違いから同社への影響は、他社と比較すると限定的となっている。
メガバンク3行の国内預貸収支は18年3月期までの10年間に約50%減少しているが、同社の減少率は30%にとどまっている。

また信託関連を中心に多様な手数料ビジネスを展開しているため、手数料関連収益の占める割合が高く、より金利に左右されにくい収益構造となっている。
手数料関連利益の占める割合は18年3月期においてメガバンク3行平均が35.9%であるのに対し、同社は57.4%である。
そして、この手数料関連利益は14年3月期の3,555億円から18年3月期には4,054億円に膨らみ、増加傾向にある。

少子高齢化が進んでいるなかで資産運用・管理、承継などを扱う同社にとって、これらは追い風となる。
高齢化や相続税課税対象の広がりにより、遺言信託保管・執行件数は拡大している。
また、相続に伴う不動産取引は増加傾向にある。

中期経営計画では、これら信託関連など手数料ビジネスの強化を通じ、20年3月期純利益1,800億円を目指している。


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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