環境変化に伴い周辺分野への事業展開が不可欠に

2019年03月01日

広告業界は博報堂DYのシェアが上昇傾向

メディア・広告各社の業績推移

広告業界トップである電通の2017年12月期業績は、売上高こそM&A効果で伸びたものの、国内事業が減益となって、営業利益は横ばいにとどまった。

為替やM&Aの影響を除いたオーガニック成長率(内部成長率)は、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が上昇した一方、国内、Americas(米州)、APAC(アジア太平洋)は低下。
単体の業務区分別では、インタラクティブメディア(双方向型メディア)が伸びたものの、主力のテレビ、新聞などの売上が減少した。
業種別では、最大ユーザーとなる情報・通信は伸びたが、流通・小売業、外食・各種サービス、官公庁・団体などの落ち込みが大きかった。
労働環境改革、インフラ整備などの先行投資負担で18年12月期は減益を見込んでいる。
博報堂DYホールディングスは国内がシェアアップなどによって増収増益となり、海外市場も新規M&Aが寄与し赤字幅が縮小した。
種目別売上高ではテレビが堅調に推移したほか、インターネットメディアが2ケタ増となり、マーケティング/プロモーション、クリエイティブなども伸びた。業種別売上高では、電通と同様に流通・小売業が大きく落ち込んだが、主力の自動車・関連品、情報・通信などは順調に伸びている。

堅調な企業収益を背景に国内市場は成長が見込め、海外市場もアジアを中心に国内を上回る伸びが期待される。
国内では、電通が労務環境の改善に注力するなかで、博報堂DYがシェアを向上させる状況が18年度も継続する見込み。
中期的には、海外市場の成長とともに、デジタル広告のウェイトが高まることが予想される。
デジタル広告においては、データ活用によるマーケティングなども広告業界の事業領域となってくるだろう。
その際は、大企業と長年において密接な関係を築き、豊富なデータを有する大手企業が優位な情勢になっていくと考えられるだろう。

メディア・印刷・出版は事業環境の変化に引き続き対応へ

メディア業界は総じて18年3月期の売上成長が鈍化している。
フジメディアホールディングスは、収益柱の都市開発事業が大幅増益となり収益をけん引したが、主力の放送事業が落ち込んで減収となった。
19年3月期も放送収入の減少、都市開発事業の反動減で減収が続く予想。
年度視聴率において4年連続で三冠(ゴールデン帯(19-22時)、プライム帯(19-23時)、全日帯(6-24時))を達成している日本テレビホールディングスも18年3月期は減益。放送収入が微減となったほか、減価償却費の増加も響いた。19年3月期もテレビ広告収入の伸びを見込まず減益予想。
TBSホールディングスも映像・文化事業は伸びたものの、TBSテレビの放送事業が大幅減益となり足を引っ張った。
気を吐いたのはテレビ東京ホールディングスで、タイム(30秒CM)・スポット(15秒CM)収入は減収となったものの、ソフトライツ収入(放送番組のビデオ化や海外販売・出版・ゲーム化、アニメ関連、映画関連など)の増加などにより地上波放送事業が増収増益となり、2ケタ増益決算をけん引した。
ネット広告へのシフト、視聴者のテレビ離れから、主力の放送収入は当面伸び悩みの見込み。

凸版印刷の18年3月期業績は小幅な増収増益。主力のコミュニケーション事業は減収減益だったが、エレクトロニクス事業が大幅な増収増益となった。スマートフォンなどに用いられるTFT液晶(薄膜トランジスタ液晶)や、半導体が好調だった。なお、雑誌・書籍、チラシ、パンフレット・カタログなどは減少している。
大日本印刷も有機EL向けディスプレイや半導体向けフォトマスクなどエレクトロニクス部門の収益が倍増し、全社増益のけん引役となった。出版関連事業に関しては、書籍・雑誌ともに売上は前年割れとなっている。印刷事業に関しては売上高の減少傾向が継続しており、当面はエレクトロニクス事業への傾斜が続くものとみられる。

ベネッセホールディングスは、「進研ゼミ」のコスト改善効果で18年3月期は大幅増益となった。会員数の増加によって19年3月期も増収増益を見込んでいる。
介護事業や英会話事業などの成長テンポは緩やかだが、新入試のスタートや英語外部検定の活用など環境変化をビジネスチャンスとして捉えられる可能性はあるだろう。
クラウド型学習支援サービスの急拡大なども注目される。
カドカワはWebサービスの損益悪化で大幅減益。出版事業も電子書籍・電子雑誌の成長が継続したものの、全体での販売部数の減少やデジタル関連への投資で減益となった。
出版市場も漸減傾向が続くなか、電子書籍や動画などへの対応が必要となるだろう。
ベネッセに関しては、今後出版会社から教育関連会社へと変貌を遂げていくことになりそうだ。


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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