成長戦略の見直し迫られるコンビニ業界

2019年10月08日

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出店の限界が近づくコンビニ、FCといかに共存共栄を図るか

コンビニ大手3社が2019年2月期決算を4月に発表して以降、ユニー・ファミリーマートホールディングスの株価は堅調に推移しているものの、最大手のセブン&アイ・ホールディングス、ローソンは株価の下落が目立っている。

株価急落の背景にあるものは、コンビニビジネスの成長の限界を市場が懸念し始めたため。セブン&アイHDは11年2月期以降19年2月期まで9期連続で営業増益を続け、19年2月期営業利益も前期比199億円増(5.1%増)の4,115億円となった。
一見、好決算であるが、この増益分199億円のうち、国内コンビニエンスストア事業は14億円で、海外コンビニエンスストア事業の131億円が大きなウェイトを占めた。
主力の国内コンビニエンスストア事業の増益率は2年連続でほぼ横ばいとなり、また、店舗数は東日本大震災以降出店が加速し13年2月期から18年2月期まで平均で年間に1000店舗以上増加していたが、19年2月期は616の純増となり、更に20年2月期は純増計画が100となり、市場は成長性の陰りを心配し始めた。

セブンアンドアイ セグメント別


セブン&アイHDのセグメント別業績

セブンイレブンジャパンの国内店舗数

また、人手不足により、FC(フランチャイズ)店においてはアルバイトの店員が十分に集められないことから、営業時間の短縮を望む声が高まってきている。
一般的にコンビニエンスストア本部はFC店から受け取るロイヤリティをFC店売上総利益(売上高から仕入れ代金を引いたもの)の〇%と設定している場合が多い。
このため24時間営業でなく、時短営業となると、販売機会の減少によりロイヤリティ収入は減る可能性がある。市場はこれらへの警戒を強めているものと思われる。


ローソンについては19年2月期営業利益が18年2月期に続いて減益となり、608億円となった。加盟店支援、次世代システム関連、銀行開業等に伴う販管費の増加が響いた。
既存店売上高もセブンイレブンジャパン、ファミリーマートが前年比プラスとなったのに対しマイナスとなった。これらの状況に対応するためにローソンでは20年2月期は「人手不足、加盟店収益の低下など、事業環境の急激な変化を踏まえ、すべてのお客さまにおすすめできるお店を目指し、人手不足対策に重点を置く」としている。
店舗数に関しても15年2月期から19年2月期に純増数は450から881で推移してきたが、20年2月期は出店・閉店それぞれ700を計画し純増は0となる見込み。

ローソンの20年2月期計画の骨子

ローソンの20年2月期計画の骨子


ユニー・ファミリーマートHDの19年2月期事業利益は前期の417億円から516億円となり、大幅増益で着地した。
サークルKサンクス店舗のファミリーマートへのブランド転換により店舗の売上高が増加し、また不採算店舗は閉鎖しコスト削減を進めた。
18年11月までに5,003の店舗のブランド転換を行い、転換後の1日当たり店舗売上高は503千円となり転換前と比較し10%増加した。
そしてファミリーマートとユニーの経営統合以降3,300を超える店舗の閉鎖を進めてきた。20年2月期の重点施策としては次のことを挙げている。

1、 加盟店支援の強化
2、 店舗収益力の強化
3、 デジタル推進
4、 PPIHとの協業推進

また、事業利益は前期比134億円増の650億円を見込む。ブランド転換店の収益増、既存店日商・差益率向上に伴う収入増、統合関連費用の減少が利益を押しあげる見込み。
人手不足により加盟店の経営状態が厳しくなっており、これへの対応として新型発注端末の導入、セルフレジの導入拡大、また営業時間短縮の実験を進めるとしている。

ユニー・ファミリーマートHDの加盟店支援の取り組み

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株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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