総合商社の動向と業界の注目企業「伊藤忠商事」

2019年09月25日

総合商社の最近の動向

三菱商事、伊藤忠商事、丸紅の3社は、2018年4-12月期純利益が過去最高を更新した。
三井物産・住友商事も19年3月期通期では純利益が過去最高を更新する見通しである。

三菱商事の4-12月期純純利益は前年同期比6%増の4421億円となった。
液化天然ガス(LNG)事業からの受取配当金の増加やアジアでの自動車販売事業が好調だった。
一方、同社が筆頭株主でプラント大手の千代田化工建設の経営状態が悪化しており、これに関係する損失と、またシンガポールに拠点を置く農産物商社オラム・インターナショナルへの減損を一過性損失として970億円計上している。

三井物産は、原油やガスなどエネルギー価格の上昇を受け、エネルギーセグメントが大幅増益となり、19年3月期は最高益を更新する見通し。

住友商事の18年4-12月期純利益は前年同期比3%減の2,418億円となった。
前年同期には米国税制改正により370億円の利益計上があったこと、また18年4-12月期にマダガスカルニッケル事業で減損を計上したことが主な理由。
これら一過性の要因を除くと増益基調が継続している。

丸紅の18年4-12月期純利益は前年同期比33%増の2,196億円となり過去最高を更新、エネルギーや紙パルプ事業が業績拡大をけん引した。
エネルギー事業では石油価格の上昇が、紙パルプ事業ではパルプ価格の上昇と、インドネシアにおける「ムシパルプ」の採算改善が大きく寄与した。

総合商社 企業業績

伊藤忠商事は非資源事業で総合商社トップに立っている。
これまで総合商社各社は資源事業に大きな投資を行い、現在でも主力は資源事業である。
しかしながら、資源事業は資源価格に業績が影響されるところが大きく、不安定であるため、近年各社は非資源事業の割合を高める取り組みを進めている。
 下図は18年3月期純利益ベースで各社の非資源事業が占める割合、14年3月期以降の純利益の推移、原油価格推移を示した図である。

非資源事業の割合(出所:各社資料をもとにフィスコ作成)

※三菱商事は説明会資料で連結純利益の事業系と市況系を記載しており、事業系割合を記載、住友商事はその他非資源利益額を基礎収益で除した割合、丸紅は非資源実質純利益を合計実質純利益で除した値

総合商社5社の純利益推移(出所:各社資料をもとにフィスコ作成)

WTI原油価格推移(出所:QUICKデータをもとにフィスコ作成)

WTI原油価格は14年6月ころまで1バレル100USドル以上で推移してきたが、14年後半に急落し、15年1月には1バレル50USドルを割り込んだ。
この影響により、16年3月期は5大商社のうち15年3月期に既に赤字に転落していた住友商事を除く4商社いずれもが減益となり、特に資源事業の割合が相対的に高い三井物産と三菱商事は最終利益が赤字となった。
一方、資源事業の割合が低い伊藤忠商事は落ち込みが小さく、16年3月期には純利益が5大商社でトップとなった。

生活消費関連分野で強み 伊藤忠商事のビジネスは、誰もがよく知っているブランドや店舗など、消費者に近い生活消費関連ビジネスの割合が非常に大きいのが特徴となっている。
純利益に占める非資源分野の割合が高いことは上述の通りであるが、この非資源分野の半分程度が生活消費関連分野である。
 伊藤忠が展開している非資源分野事業のブランドとしては、コンビニエンスストアのファミリーマート、輸入車販売のYANASE、英国を代表するファッションブランドのPaul Smith、バナナやパイナップルで有名なDoleなどがあげられる。

また同社は長年に亘ってイタリアとファッション、テキスタイル、食品など様々な事業を行っており、18年12月に同社の代表取締役会長CEOの岡藤正広氏は、同社が「GIORGIO ARMANI」「BVLGARI」「TRUSSARDI」「Richard Ginori」「mila schon」など、数多くの著名なイタリアブランドを次々に手がけ、日本におけるイタリアブームを先駆けたとして、イタリア共和国大統領からイタリア星勲章「グランデ・ウフィチャーレ章」を受章した。

伊藤忠では18年5月に21年3月期までの中期経営計画を公表しており、新技術を活用したビジネスモデルの進化や、ユニー・ファミリーマートHDを起点としたグループバリューチェーンの価値向上、中国・アジアでのビジネス創出を加速させることを方針としている。
ほかにも、ROE(自己資本比率)をはじめとした経営効率性や労働生産性の向上、働き方改革の推進なども掲げている。


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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