自動車電装化の流れが収益機会を創出へ

2019年03月28日

18年3月期は各サブセクターとも収益が順調に拡大

総合電機大手4社(日立製作所:6501、三菱電機:6503、日本電気:6701、富士通:6702)合計の2018年3月期営業利益は前期比25.9%増となり、19年3月期の期初予想は同1.9%減益となっている(日立製作所は調整後営業利益)。
18年3月期は世界的な景気の拡大や構造改革効果などを背景に各社ともに増益決算となったが、19年3月期は強弱が分かれるとみられている。

民生用エレクトロニクスでは、ソニー:6758、パナソニック:6752ともに18年3月期は大幅増益を達成し、とりわけソニーは20年ぶりに過去最高益を更新した。
為替の円安メリットも寄与したが、両社とも構造改革のステージを終え、業績の再成長フェーズに入りつつある。

電子部品業界は、大手10社(京セラ:6971、日本電産:6594、村田製作所:6981、TDK:6762、ミネベアミツミ:6479、アルプス電気:6770、日本特殊陶業:5334、イビデン:4062、太陽誘電:6976、ヒロセ電機:6806)で見ると、
18年3月期は10%前後の営業増益だった(TDKが17年3月期に計上した事業譲渡益1258億円を除いたベース)。
スマートフォンの販売不振で減益となる企業も見られたが、車載関連や産業機械関連などが総じて順調に推移した。19年3月期も大半の企業が増益を見込んでいる。

サブセクター別主要企業の営業利益推移

19年3月期以降は車載向けの取り込みが焦点に

電気自動車(EV)化の進展は、自動車部品業界から半導体や電子部品へのシフトを促すものになる。
大手自動車メーカーがEV開発競争を加速させる中で、電機・電子部品メーカーにとっては業容を拡大させるチャンスとなる。
このセクターの中では、今後収益水準が一段と高まっていく企業が多く見られることになるだろう。
一方で、経営資源の集中を加速化させる企業も出てくると思われる。

産業用エレクトロニクスでは、車載や産業機械向けに需要の拡大が続いているパワー半導体や受動部品の需給ひっ迫状態が継続するだろう。
また、日立製作所を中心に、IoT(モノのインターネット)分野の市場拡大メリットも享受されそうだ。
社会インフラ系に関しても、不採算プロジェクトの減少などによる収益改善傾向が続くとみられる。
一方、国内基地局の需要縮小で通信機器関連分野は成長鈍化が続く見通しだ。クラウドへのシフトが進み、ITインフラ系なども厳しい状況が継続するだろう。
世界的な貿易戦争の激化により、好調が続いたFA(工場自動化)関連分野などにも不透明感は強まっている。
なお、半導体のピュアプレーヤーは少なくなっているが、車載用半導体では世界的にも高シェアのルネサスエレクトロニクス:6723などは、EVや自動運転車普及による数量拡大効果はストレートに享受できると考えられる。

民生用エレクトロニクスでは、家電など着実な収益を稼げる事業を有することに加え、リストラを終えて成長事業に積極投資できる企業が注目され、ソニーとパナソニックの優位性に変化はないだろう。
ソニーはイメージセンサー、パナソニックは米テスラ向けのリチウムイオン電池など、自動車電装化進展による恩恵もともに大きいと考えられる。
スマホ、パソコン、テレビなどの分野では日本企業のコスト競争力は失われているが、中国の消費高度化などを背景に、世界で高シェアを持つ企業などは再成長期入りの可能性も残る。
ピアノのヤマハ:7951などはこうした候補になってくるだろう。

電子部品は車載部品への展開が今後一段とカギを握っていくことになる。
車載モータの日本電産:6594、受動部品であるMLCCの大手となる村田製作所:6981や太陽誘電:6976などが短期的に業績を拡大させる余地が大きい。
電子部品は日本企業の優位性が高い分野であり、世界的なEV化の流れはポジティブと言えるだろう。
車載分野などで大型の設備投資計画を打ち出す企業も多くなっており、将来を見据えた積極展開として評価できる。
なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、電子部品は輸出比率が高いため為替の感応度が大きく、5円のドル高・円安はサブセクター全体にとって7%程度の増益インパクトをもたらすとみている。

(図)次世代自動車の販売実績と目標


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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