車載関連が今後の成長エンジン

2019年10月01日

パナソニックは、創業100周年で新たなスタートをきる

電気・電子・半導体メーカーの最近の動向(出所:パナソニック)

パナソニックの前身となる松下電気器具は1918年の創業で、2018年度は同社にとって創業100周年となる年であった。
近年の同社業績を振り返ると、11年度、12年度には薄型テレビの販売不振などで純損益は2期連続で7,500億円以上の赤字を計上したが、その後構造改革と財務体質の改善を進め、18年度には車載電池事業など高成長事業が業績をけん引し、売上高は8兆円、営業利益は4,100億円、純利益は2,841億円まで膨らんだ。

今日のパナソニックのビジネスは、アプライアンス、エコソリューションズ、コネクティッドソリューションズ、オートモーティブ&インダストリアルソリューションズ事業から構成されている。

主要商品ハイライト(出所:パナソニック)

セグメント情報(出所:パナソニック)

18年度業績については、アプライアンスの売上高は、北米の食品流通(*1)などが増収となったものの、中国でのエアコン向けデバイスなどの不調により、全体では減収となった。

エコソリューションズの売上高は、4%の増収となった。パナソニックホームズの分譲事業が好調に推移し、アジアでの電材事業や松村組の連結化が寄与した。

コネクティッドソリューションズでは、アビオニクス(*2)などの減収を、プロセスオートメーション(*3)やモバイルソリューションズ(*4)などの増収がカバーし、全体では2%の増収となった。

オートモーティブ&インダストリアルシステムズでは、米中貿易摩擦等の影響によりインダストリアルは減収となったが、車載電池が大きく成長したエナジー、国内や北米でインフォテインメント(*5)が伸長したオートモーティブが寄与し、全体では6%の増収となった。

(*1)食品流通向けでは、スーパーショーケースなどの店舗用機器、自動販売機などを扱っている。
(*2)アビオニクスは、世界中の航空会社を対象に、航空機向けの電子機器設備を提供している。機内エンターテインメントシステムは、世界中の航空会社で計5,000セット以上採用され、世界の航空会社の50%以上が同社のインターネット接続ソリューションを利用している。
(*3)プロセスオートメーション事業部は、実装機・溶接機とIoT(モノのインターネット化)関連技術のシナジーで、製造業界等の顧客に自動化・省人化による生産性向上や品質ロス削減等のソリューションを提供している。
(*4)モバイルソリューションズ事業部は「レッツノート」や「タフブック」などのノートPC、頑丈タブレットなどを扱う。
(*5)インフォテインメントは自動車のなかで、AVとIT技術によって情報(インフォメーション)と娯楽(エンターティンメント)を提供するシステム。

車載電池、IoT活用家電、法人向けソリューション事業が今後のドライバー

パナソニックが今後の成長エンジンとして特に注力しているものは、車載電池、IoTを活用した家電、法人向けソリューション事業である。

同社には50年以上にわたり蓄電池に取り組んできた経験があり、これまで磨いてきた技術力やモノづくり力、そして電池の性能を左右する材料の化学的要素に関するノウハウをベースに、世界トップの電池会社として事業の拡大を図る方針を示している。

パナソニックはテスラやトヨタ自動車に車載電池を提供しており、世界の車載電池市場で高いシェアを有す。
20年末までにはトヨタと電気自動車で使う車載電池の生産会社を共同で設立する。
新会社はパナソニックが持つ「角形」と呼ぶタイプのリチウムイオン電池の生産設備を持つことになっている。

20年代前半からは、ハイブリッド車用と比較し約50倍の容量を持つEV用電池の量産を本格化する方針だ。
両社で資金を出し合い、EV市場の拡大に伴う電池の増産に備える。
新会社は、リチウムイオン電池に比べて容量が大きく、安全性も高い全固体電池の研究開発にも取り組む方針としている。

IoTを活用した家電については、同社はスマート家電を展開している。
スマート家電の特長は、家電がネットにつながり、よりスマートで快適な暮らしが実現できること。
たとえば、エアコンの「どこでもリモコン」(遠隔操作)を活用すると、帰宅する少し前にスマートフォンでオンすれば、帰宅する頃には室内は快適な温度となっている。
また、テレビやレコーダをネットにつなげば、デジタルカメラで撮った写真をレコーダに送信したり、番組の録画予約を外出先から操作したりすることも可能となっている。

法人向けソリューション事業では、航空機内エンターテイメントシステムや実装機(電子部品をプリント基板に配置する装置など)、プロジェクター、決済端末などを手掛ける。

パナソニック アビオニクス社は、乗客と乗務員向けの航空システムを設計・開発し、機内でのエンターテインメントやコミュニケーション、メンテナンスサービスなどを提供している。
世界300社以上の航空会社をサポートし、毎年1.4億人以上の乗客に快適な機内空間を提供している。

プロジェクターについては、最近のトピックスとして、国立科学博物館の日本館に導入された例が挙げられる。
同館には360度全方位に映像が映し出され、独特の浮遊感などが味わえる世界初のシアターである「THEATER36〇」があるが、19年3月にプロジェクターなどの設備が更新され、リニューアルオープンした。このリニューアルの際に新たに12台の同社プロジェクターとスペースプレーヤーが採用された。
スペースプレーヤーは照明とプロジェクターの機能を持ち、光と映像を融合させたプロジェクションライティングで新しい空間演出を実現できるようになっている。

プロジェクションライティング(出所:パナソニック)


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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