インバウンド需要拡大で化粧品・日用品業界の業績は好調

2019年01月24日

アパレルは優勝劣敗の流れが強まる

アパレル・化粧品・日用品各社の営業利益推移

一部データによると、2016年の国内アパレル総小売市場は2年連続の減少となっている。販売チャネル別では、百貨店や量販店が大きく減少し、専門店は微増となった模様。過去5年間の年平均成長率は微増にとどまり、市場はほぼ飽和している状況といえるだろう。

こうしたなか、アパレル業界大手における17年度業績は優勝劣敗が鮮明となった。ファーストリテイリングやユナイテッドアローズが好調で、これまで好調が続いてきたアダストリアやしまむらが伸び一服、青山商事やAOKIホールディングスは低成長が継続する形になっている。ファーストリテイリングは国内ユニクロ事業が減益となったものの、海外ユニクロ事業の成長が大きく貢献しており、海外の収益構成比は約4割まで高まった。ユナイテッドアローズは値引きロスの低減が粗利益率の上昇につながったほか、インターネット通販の好調が売上増加をけん引した。

一方、しまむらは主力の「しまむら」業態の売上減少が響き、アダストリアは海外が伸びたもののウェイトは低く、国内既存店の伸び悩み、在庫消化のための値下げ販売増加により、粗利益率が大きく低下した。オンワードホールディングスは2ケタ増益となったが、14年2月期営業利益実績(94億円)などとの比較では、依然として収益は低水準といえる。

既存店売上高推移

足元の既存店売上動向を見ても、ファーストリテイリングやユナイテッドアローズの好調が継続している。国内市場は飽和状態にあり、売上高の成長は海外市場が頼りとなるが、国内においては収益性の向上が焦点となる。売上の好調で、価格交渉力でも優位なポジションを築け、こうした面からも二極化の流れは続きそうだ。国内市場では、商品力とともに店舗立地も重要な要素となるが、この面での出遅れは急速に浸透している電子商取引(EC)でカバーできるため、今後はいかにEC市場の取り込みを成功させられるかが、今後の新勢力にとって注目ポイントとなってくるだろう。

訪日外客数の増大に伴いインバウンド需要が拡大


経済産業省の生産動態統計によると、17年の化粧品販売金額は前年比7%増の1兆6,292億円と、5年連続でプラス成長となっている。ほぼ全品目が前年を上回る状況となった。国内における雇用・所得環境の改善もあるが、大幅増の主因は中国を中心とした外国人観光客によるインバウンド需要とみられる。

訪日外国人観光客数推移
(出所)日本政府観光局(JNTO)

インバウンド需要に支えられる形で、化粧品・日用品大手各社の17年度業績は軒並み2ケタの増益を達成する好調なものとなった。特に資生堂の収益が急拡大し、日本、並びに中国で大きく売上が伸びたことが収益に貢献した。日本の店頭売上は12%増となったが、インバウンド売上が70%成長で大きくけん引している。インバウンド関連売上のウェイトが高いとされているコーセーも、同売上高が34%増となった。ポーラ・オルビスホールディングスはポーラブランドの高価格帯品の売上が好調で原価率が大幅に改善し、インバウンド売上についても2ケタの伸びとなっている。

海外向けに舵を切った、景気への感応度の高い産業(シクリカル産業)と違って、化粧品・日用品業界は国内向けの商品提供を行ってきたことで、高品質・高信頼性の商品群の提供がなされている。中国においては信頼性の高い化粧メーカーは育っていないため、日本メーカーの高いブランド力や品質の安心感は今後も世界で優位性を持ち続けるだろう。これにより、新興国における所得水準の向上は、日本の日用品・化粧品メーカーのビジネスチャンス拡大へとつながる可能性がある。短期的には、東京オリンピック・パラリンピックの開催もあって、引き続きインバウンド需要の拡大に関心が向かうが、その後は、訪日時に購入した海外消費者への輸出増という形で長期的な業績拡大が期待されることになるだろう。


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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