医薬品メーカーの動向と業界の注目企業「中外製薬」

2019年09月02日

医薬品メーカーの最近の動向

武田薬品は、2019年1月、アイルランドのバイオ医薬品メーカーのシャイアーを買収。買収後の武田の年間売上高は3兆5,000億円に迫る見込みで、製薬会社として世界トップ10入りする。
武田は、がん、消化器系疾患、神経精神疾患、希少疾患を重点領域とするが、シャイアーは希少疾患を得意としており、この分野の大幅な強化が見込まれる。
またこの買収により、世界の医薬品市場の40%以上を占める米国で売上高が1兆円以上増加し、事業基盤の拡充が進む。

アステラス製薬は、前立腺がん治療剤「イクスタンジ」、過活動膀胱治療剤「ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ」、過活動膀胱治療剤「ベシケア」が主力。
がん、泌尿器(過活動膀胱)、移植領域に強みを持つ。

大塚ホールディングスは、精神神経系の医療用医薬品が主力。ポカリスエットやカロリーメイトなどの飲料・食品事業も手掛ける。

第一三共は、25年ビジョンとして「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を掲げる。
がん事業を中心とする医薬品領域を中核と位置づけている。

エーザイは、神経及びがん領域を戦略的重要領域と位置づけ、新薬創出活動を推進している。
神経領域では、自社創製の抗てんかん剤「フィコンパ」が部分てんかんの併用療法について、日本、米国、欧州、アジアなど、55カ国以上で承認を取得している。
がん領域では、自社創製の抗がん剤「ハラヴェン」が乳がんに係る適応で65カ国以上、悪性軟部腫瘍に係る適応で、50カ国以上で承認されている。
同じく自社創製の抗がん剤「レンビマ」が甲状腺がんに係る適応で、50カ国以上で承認されている。

大日本住友製薬は、住友化学系で中枢神経領域の医薬品開発に強みを有す

田辺三菱製薬は、三菱ケミカル系で、抗リウマチ薬のレミケード、シンポニーが主力。

協和発酵キリンは、バイオテクノロジー、抗体医薬に強みを有す。
腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の4つの領域を重点カテゴリーとして、最先端のバイオテクノロジーを駆使した新薬の開発を進めている。

塩野義製薬は、抗HIV(エイズウイルス)薬「テビケイ」の特許権を有しており、これのライセンスを英グラクソ・スミスクラインの子会社ヴィーブヘルスケアに与え、ヴィーブの販売に応じて受け取るロイヤリティー収入が伸びている。

小野薬品工業は、がん領域の画期的な新薬「オプジーボ」の効果で18年3月期までの3年で売上高は2倍に拡大し、急成長を遂げた。18年3月期売上高2,618億円のうちオプジーボが901億円を占める。
脂質や酵素など各種標的に対する作用を持つ化合物をライブラリーとして蓄積し、そのなかから疾患や治療に結びつく薬剤を探し出す「化合物オリエント」という独自の創薬手法を基盤としつつ、医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患を重点研究領域に定め、経営資源を集中的に投入している。

医薬品メーカーの企業業績(出所:決算短信をもとにフィスコ作成)

業界の注目企業…中外製薬

中外製薬の業績推移

医療用医薬品に特化し、製品別売上高構成比では、がんが約56%、骨・関節が約23%を占める。
17年のがん領域製品の国内シェアは約20%で、08年以降、10年続けてトップシェアを維持している。

バイオ医薬品のひとつである「抗体医薬品」は、特定の細胞や分子にピンポイントで作用することにより、高い治療効果と副作用の軽減が期待できる医薬品として注目されている。
同社は国内で初めて抗体医薬品を創薬し、この分野では国内最大のシェアを有している。

2002年に世界最大の製薬会社ロシュ社(スイス)と戦略的アライアンスをスタートし、抗がん剤を中心としたロシュ・グループの画期的な医薬品を国内で独占販売できるようになり、同社製品のグローバル展開も強化されている。

バイオ医薬品を軸に高い成長が期待され、株式時価総額は製薬企業で武田に次いで2位となっている(19年2月28日時点)


株式会社FISCO

1995年に設立、2006年上場。金融情報配信会社として、株式、為替、債券、仮想通貨といった金融情報を幅広く取り扱う。各投資市場に対する深い理解と洞察に基づき、初心者からプロまで、投資家を支援する各種金融サービスを提供している。 全国の金融機関約250社向けに金融情報を提供しているほか、個人向けではヤフーファイナンス、LINEニュース、SmartNews、Gunosyなど、国内の主要なサイトやアプリに金融・経済系コンテンツを提供している。

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