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化学・繊維・素材メーカーの最近の動向
化学大手6社(信越化学工業、三菱ケミカルホールディングス、旭化成、三井化学、住友化学、東ソー)のうち、2019年3月期は信越化学、三菱ケミカル、三井化学が純利益レベルで最高益更新の見通し。
信越化学の18年4-9月期営業利益は前年同期比34%増の2,092億円となった。
けん引役は世界トップのシェアを誇る塩化ビニル樹脂とシリコンウエハー。
建材などに使う塩ビ樹脂は米国での販売が好調に推移している。
またシリコンウエハーは記憶媒体となるフラッシュメモリーなどに使う主力の300mmを中心に需給が引き締まっており、値上げが進んでいる。
三菱ケミカルは、主力のアクリル樹脂原料や炭素繊維の市況好転が業績に寄与した。
また、三井化学は自動車部品材料や眼鏡向け材料の販売が堅調に推移している。
東レの19年3月期営業利益は前期比2%増の1,600億円程度となる見通し。
炭素繊維は合成繊維を蒸し焼きにして強度を高めた素材で、航空機からテニスラケットまで幅広い用途で用いられている。世界シェアは4割に迫り、炭素繊維市場をけん引する。
20年の東京五輪・パラリンピックに向けた建設需要がけん引し、国内の鉄鋼業では生産増が続いている。
需要増を受けて、新日鐵住金、JFEホールディングス、神戸製鋼所の国内鉄鋼大手3社の18年4-9月期増収率はいずれも5%を超える比較的高い成長を示した。
世界鉄鋼協会は19年の世界の鉄鋼需要は18年比1.4%増加する見通しと発表しており、中国が世界の鉄鋼の半分を生産している。
現在は内需が旺盛だが、景気減速や世界貿易の縮小で需要が減少すると鋼材がだぶつき、市況の悪化を招くリスクがある。